いつも目を覚ます前に会いに行っていた。
何故いつもいるんだ?と聞かれた事もあったけど、軽く流した。
そんな毎日が堪らなく好きだった。
「伯符がいなくなってから、十年経ったのか。」
誰もいない部屋で周瑜はぽつりと呟いていた。
今日は、何だか体調がいつもより良かったような気がする。明日もそうだと良いな、と思った。
孫策がいなくなってから周瑜は朝が嫌いになった。それと同時に夜も嫌いになった。
それは愛しい人に会えないから。
朝、孫策が目を覚ます前に行って起きるのを待つ。そして、起きたらおはようと言うのだ。
夜はおやすみと言って、自分の部屋に戻る。
そんな毎日を繰り返していた。例え仕事が大変でも、必ず会いに行っていた。
一度、孫権に見られてしまった事もあった。孫策と喧嘩をして顔も見たくないと思った事もあった。けど、一晩経つと無性に孫策の顔が見たくなった。
孫策も喧嘩をした日でも窓の鍵を閉めた事は一度もなかった。
お互い、直ぐに顔を見たくなるからだった。
そんな昔の事を思い出して、くすりと笑う。
少し夜風にあたりたいと思い窓を開ける。冬独特の寒さが部屋に充満する。
ベッドの上から窓に寄り、空を眺める。きらきらと星が瞬いていて美しかった。
これを伯符と一緒に見られたら良いのに、と思いながら窓を閉める。
いつまでもずっと伯符と一緒に居られると思っていた。
幼稚園から大学までずっと同じだった。クラスも一緒だったし委員会も一緒だった。卒業した後は流石に各々得意な分野の職業についたが。
それでも、毎日朝と夜に会っていた。
ずっと、続くんだと思っていた。
けど、26歳の時に孫策は死んだ。桜の綺麗な季節だった。
みんなに見送られた君は、きっと幸せだったろう。
それから十年の月日が経った。
周瑜はいつの日からか家に閉じこもるようになっていた。
比例するかのように体調も悪くなっていった。
そろそろ自分も死ぬんだという事は分かっていた。
「死んだら、伯符に会えるかな。」
何だかとても眠かった。
でも、寝たらいけないような気もした。
もう一度窓の向こう側にある星を眺める。寝転がっていてもよく見えた。
「伯符、私は君がいなくてとても寂しいよ。」
ふわりと周瑜の頭を誰かが撫でた気がした。驚いて体を起こそうと思ったのだが、億劫だった。
とても、眠い。
そろそろ寝よう。そう思い瞼をゆっくりと閉じてゆく。
しかし、その瞼が開く事はもうなかった。
とても、嬉しそうな顔をしていた。
公瑾、もう寂しくなんかないな。
ああ、そうだな伯符。
迎えに来てくれて、有難う。
冬の空、2つ仲良く寄り添う星がきらきらと輝いていた。
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